バドミントンのルールでは試合中のマナーについて記載されている条文があります。うっかりやってしまったり、初めての試合で思わずやってしまったりすると反則=フォルトとして扱われる場合があります。
マナー違反は相手プレーヤーに限らず、審判への心象を悪くするだけでなんのメリットもありません。最悪の場合は「失格」として試合を継続させてもらえなくなります。
このページではバドミントンの試合において守るべきマナーについて解説していきます。
目次
バドミントンのルールでマナーに該当する規定
バドミントンのルールでマナーに該当する文言は「第16条プレーの継続、不品行な振舞い、罰則」にて記載されています。具体的な内容について下記のとおりです。
第5項 アドバイスとコートを離れることに関して
⑴ シャトルがインプレーでない(第15条参照)のときに限り、プレーヤーはマッチ(試合)中、アドバイスを受けることができる。⑵ プレーヤーは本条第2項のインターバルを除き、マッチ(試合)中、主審の許可なしにコートを離れてはならない。もしそのような行為をした場合は、遅延行為とみなされる。
第6項 プレーヤーは次の行為をしてはならない。
⑴ プレーを故意に遅らせたり中断したりすること
⑵ シャトルのスピードや飛び方を変えるために、故意にシャトルに手を加えたり破損したりすること
⑶ 相手に対して下品で無礼あるいは不適切な態度、言動
⑷ 競技規則を越えた不品行または不快な行動
競技規則(公益財団法人 日本バドミントン協会採択)より引用
誤解されがちなのは第5項の(1)です。ラリー中でなければコートを離れてアドバイスをもらっても問題ないと、考える人がたまにいるので注意が必要です。コートを離れることができるのはインターバルのときだけです。続く(2)でも補足説明されていますが注意しましょう。
プロの試合ではタオルで汗を拭いたり、水分補給をするシーンが見られます。あれはきちんと主審に許可をもらっているから問題ありません。許可が下りない場合は手で汗をぬぐっています。したがって、これらの行為は不当にプレーを遅らせる行為にはなりません。
ただし何度もタオルで汗を拭いたり、水分補給をしたりすると許可されない場合もあります。何度もやると息切れや体力回復行為とみなされてしまうからです。プレーの遅延行為は競技規則第16条第4項で禁止されています。
第4項 プレーの遅延
(1)プレーヤーはどんなことがあっても、体力や息切れを回復できるように、または、アドバイスを受けるためにプレーを遅らせてはならない。
(2)主審はいかなるプレーの遅延についても、それを判断・処置する唯一の決定者である。競技規則(公益財団法人 日本バドミントン協会採択)より引用
もしこれらの規則に違反してしまったらフォルトになる可能性があるのです。 違反に対する処置は同16条第7項「違反に対する処置で」定められています。
第7項 違反に対する処置
(1)本条第2項、第4項(1)、第5項(2)、第6項のいかなる違反に対しても、主審は、次の処置をとる。
① 違反したサイドに警告をする。
② 一度警告を受けた後、再び違反した場合は、そのサイドをフォルトにする。
③ 目に余る不品行な振舞い、執拗な違反については、その違反したサイドをフォルトとする。(2)本条第7項(1)②及び③に関する違反については、主審はフォルトを宣した後、直ちにレフェリーに報告する。レフェリーは違反したサイドをそのマッチから失格させることができる。
競技規則(公益財団法人 日本バドミントン協会採択)より引用
一度警告を受けたにもかかわらず、再び違反してしまったらフォルトになる可能性があります。またフォルトになってしまったらレフェリーに報告されて、失格になってしまう可能性もあるのです。
フォルトになってしまうからマナーを守るのではなく、普段の練習のときから相手や周囲の人を不快にさせないように気をつけましょう。

競技規則には記載されていないが守りたいマナー
競技規則には具体的にどのような行為がマナー違反か記載されていません。「相手に対して下品で無礼あるいは不適切な態度、言動」とはどういった行為なのか?またフォルトになる確率は低いが守りたいマナーについて解説します。
ゲーム開始前の挨拶
対戦相手とダブルスであればパートナーに「お願いします」と挨拶をしましょう。軽く会釈をするだけのサークルもありますので、そのあたりは臨機応変に行えば問題ありません。公式大会の場合は、握手をする場合もありますのでそのときにしっかりと挨拶するのがいいでしょう。
審判が「(※前略)~ラブオール・プレー」とコールしたら「お願いします」と軽くお辞儀をして挨拶しましょう。主審だけでなくサービスジャッジ、線審にも挨拶をするといいです。
滅多にないことですが、挨拶している最中にサーブを打ってしまう人がいます。このとき打ち返す素振りをしないでください。挨拶をしている最中なら、レシーブの準備が整っていないとしてレット扱い=やり直しになるからです。
もし動いてラケットを振ってしまったら、プレーをする意思があると判断されてしまいます。そうなったら有効なラリーとして判断されてしまうかもしれません。自分の準備ができていない状態で打ち返しに動いても、いいリターンはできないと思います。
そのため自分が挨拶をしている途中に相手がサーブを打ってきても対応しないようにしましょう。
相手プレーヤーの顔面に当ててしまったとき
試合中に相手選手の顔面にシャトルが当たってしまうことがあります。偶然の時もあれば、意図的に相手選手を狙うときもありますが、どちらにしても「すみません」「ごめんなさい」の一言は大切。
上級者、経験者に多い謝罪のやり方で、手を上げて無言で謝るケースもあります。このように謝罪の意思を相手選手へ表すことが重要。
対戦相手のコートに返球する時は優しく渡す
丁寧にネットの上から返球しましょう。相手選手がいる方へ軽いふんわりとしたショットでアンダーハンドストローク(下から打つ)で返しましょう。
ネット下から勢いよくラケットでシャトルを弾いて打って返すと雑に受け取られるでしょうし、ネット上から返したほうが丁寧な印象を受けますよね。
また、稀にオーバーヘッドストローク(頭上から打つ)で返す人もいますが、アンダーハンドストロークだと相手コートに届かないからでしょう。相手コートへやんわりとしたショットで返せない位置の場合は、ネット前に移動してから打つこと。
オーバーヘッドストロークで返さないのは攻撃されている感覚に似ているので、いくらクリアのような山なりのショットでも良い気分にはならない選手もいるからです。
シャトル交換は審判に手渡しで行う
シャトルの羽根が壊れて、新品に交換するときは、審判に手で交換するシャトルを渡しましょう。

相手選手への同意も得たうえで、手で持ってシャトルが壊れていることを審判に見てもらい、手渡しでシャトルの交換をしましょう。
【警告】イエローカード・レッドカード・ブラックカード
冒頭で少しご紹介ししたイエローカードやレッドカード、ブラックカードについて解説します。これらは公認審判員規定の【第3条】『主審への助言』に記載されています。
参照元:バドミントンルール百科|公認審判員規定 第3条主審への助言
警告に使われるカードについて記載されているのは第7項(3)からです。競技規則書の16条などに違反した場合は選手が主審の近くへと呼び出されて、注意を口頭でまず受けます。その後に主審は右手にイエローカードを持って主審の頭上に挙げて、観客などに周知する。
また再び同規則に違反した場合には先に口頭でフォルトの旨を告げられ、その後にレッドカードを挙げます。もし繰り返し注意をしても態度が改められないときには、競技役員長(レフェリー)が失格にするかを判断します。失格が決定したときにブラックカードを主審へと渡し、主審が選手に失格であると告げたあとに、主審は頭上にブラックカードを挙げて失格であることを周知するのです。
このとき失格となった選手は、同一大会でエントリーしているすべての種目で失格となります。
まとめ
指導者や、地域によっても少しずつマナーが変わったりするので、マナーに敏感になりすぎる必要はありませんが、細かいところで相手の気遣いが見えたりすると嬉しいもの。
またルールで規定されている不品行な振る舞いは頭に血が上って冷静になれてないときにクセでやってしまうこともありますので、普段から冷静にプレーをする習慣をつけましょう。
