バドミントンは、ラリー(シャトルを打ち合うこと)中にグリップの握り方を打たれた場所や球種によって変えるスポーツです。
初心者のうちはこのグリップの持ち替えがうまくできず、リターン(打ち返すこと)に苦労すると思います。逆を言えばこの持ち替えが上達すれば、ラケットワークの一部であるグリップの持ち替えに関しては初心者卒業ということです。
そしてこのグリップの握り替えのコツは親指がポイントです。今回はバドミントンの基本であるグリップの握り方についてお話しをしていきますね。
目次
バドミントンのグリップの握り方は親指と人差し指で
結論から言うと、バドミントンのグリップの持ち方に正解はありません。つまりプレーヤーの好みや、状況によってグリップの持ち方は変わってきます。
バドミントンのグリップの基本の握り方のひとつとして、親指と人差し指を支点として持つスタイルがあります。したがってこの場合には、残りの指は添えるだけで、インパクト(シャトルがラケットに当たる)時までは、親指と人差し指の力だけでラケットを支えるのです。
他の持ち方は、イースタングリップで薬指と小指を支点に握るか、コンチネンタルグリップ(イースタングリップとウエスタングリップの中間の持ち方)です。
バドミントンのラケットをインパクトの瞬間にグリップを握りこむことによって、ラケットに力を伝達させます。このインパクト時に握力を利用する=グリップを握りこむのは、どの持ち方でも同じです。
参考:バトミントンのラケットの正しい持ち方(握り方)と種類を解説!
したがって、常に5本の指でラケットのグリップを握りこんでしまっていては各ショットの威力を十分に活用できないのです。それでは、リターンしたあとはどのようにグリップを持っているのがベターなのかについて、次にお話しします。
ホームポジションでのグリップの持ち方は?
いろんなバリエーションの握り方の中の、中間を採るとイースタングリップになると言えるでしょう。もしくは、その握り替えのために最も合理的なグリップの持ち方として、コンチネンタルグリップがあります。
つまるところ、ニュートラル状態(ラリー開始時)にイースタングリップかコンチネンタルグリップで構えておけば、そこから最小限の握り替えで複数あるバリエーションの握り方ができます。
したがって初心者の場合はまず、フォアサイドはイースタングリップ、バックサイドは親指で押す感覚を掴みやすいサムアップグリップからスタートするのがよいでしょう。
バドミントンのグリップの握り方 4種類を解説!
グリップを持ち替えるときにどんなグリップの握り方があるかを紹介します。
イースタングリップ(フォアハンド)
利き手側であるフォアサイドに飛んできたシャトルを打つときの持ち方はイースタングリップ(フォアハンド)。
サムアップグリップに比べて力を入れやすい持ち方です。スマッシュショットを打ち込むときなどに多用されることが多く、利き手側であるフォアサイドのショットの多くを処理するのがこのイースタングリップという持ち方になります。
イースタングリップは、ラケットの面(ガットが張ってある部分)と床が垂直になるように持ちます。指導するときには、握手をするように手を出す、包丁を持つときと同じように持つと教えるのが一般的です。
このイースタングリップができていないとラケット面が安定しません。そのため飛んでくるシャトルに対して毎回違うアプローチをすることになるので、ラケットがシャトルに当たるときと、当たらないときが出てきます。
こうならないためには、まずフォアハンドでの素振りを行って回内運動(うちわで自分を仰ぐ時の手首の動きのこと)をしっかりと身につけることが大切です。この素振り練習の目的は、肘から先を動かして打つという感覚を養うことにあります。これができるようになれば、シャトルの落下地点に移動して空振りをすることは減るでしょう。
参考:バドミントンでは手首を固定して打つ!?正しくは回内の運動が重要
サムアップグリップ(バックハンド)
サムアップグリップ(バックハンド)の持ち方はイースタングリップの状態から親指をずらして、グリップの六角形の広い面の部分に親指を当てた持ち方です。
主にレシーブの際やバックサイド(利き腕と反対側)のシャトルを処理するときに使用する持ち方です。イースタングリップに比べて広い範囲をカバーすることができるのがサムアップグリップのメリットです。しかし、親指で「押す・弾く」という感覚が難しく苦手とする人が多いです。
逆に言えば早い段階からサムアップグリップに対する苦手意識を克服できれば、他の人たちよりも早い上達が期待できます。イースタングリップとサムアップグリップの持ち替えがスームーズにできるようになれば、今まで打ち返せなかったシャトルも対応できるようになるでしょう。
ウエスタングリップ
ウエスタングリップの持ち方は、床に置いたラケットに上から手をかぶせるように持ちます。フライパン持ちとも言われ、英語では「panhandle grip」と呼ばれています。
「panhandle」の意味は「フライパンの柄」のことなので、つまりフライパン握りということです。初心者や初めてラケットを持つ人の多くが、このウエスタングリップになるでしょう。この理由は、ラケットの面が前にくるのでシャトルを打ち返しやすいからです。
レクリエーションとしてのバドミントンならば、この予備動作が少なく済むウエスタングリップのほうが簡単で良いでしょう。さらに言えば、ラケットを飛んでくるシャトルに向かって差し出すだけなので空振りなどのミスも減らせます。
スポーツ競技としてバドミントンをするときにウエスタングリップを使うのは、ドライブショット・プッシュショットで打つときです。どちらもラケットを大振りし過ぎてしまうと打ったシャトルの軌道が浮いたり、コントロールしにくくなったりするため安定して打てるウエスタングリップで打つのがおすすめです。
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これらのショットは基本的にダブルスの前衛の選手が使用するシーンが多く、そのためダブルスで前衛に居る場合はイースタングリップよりも、ウエスタングリップで構えている方が楽にリターンができるでしょう。
参考:バドミントンでドライブを打つときのラケットの持ち方のポイント
ウエスタングリップのメリットを述べてきましたが、デメリットも存在します。それは手首の可動範囲が狭くなるため、回内運動と回外運動ができなくなることです。
とくにオーバーヘッドストローク系ショット、スマッシュ、クリアなどは打ちにくくなりますので注意しましょう。
ウエスタングリップは安定してショットを打ちやすくなりますが、他のグリップへの持ち替えができなければ意味がありません。ウエスタングリップのままでは、他のショットへ対応できないということを理解しておいてくださいね。
参考:バドミントンのプロ選手でウエスタングリップへ握り替えをする選手はいる?
コンチネンタルグリップ
コンチネンタルグリップはラケットの面の向きを意識することが大切。手の平の向きと、ラケットの面の向きが同じになるようにするといいでしょう。
イースタングリップからラケットヘッドを斜めにして地面に対してラケットの面が45度ぐらいの角度になっている状態がコンチネンタルグリップです。コンチネンタルグリップでは、バックサイドに飛んできたシャトルも一部処理できるメリットがあります。
無論、コンチネンタルグリップでバックサイドへ飛んできた全てのショットへ対応できるかと言えば、そのようなことはありません。
コンチネンタルグリップからサムアップグリップへ持ち替えずともリターンできると、持ち替えしない分早くシャトルに触れることになります。そうすることでより鋭角なショットが打てたり、相手の裏をかいたりできるのです。
一方でコンチネンタルグリップのままではスマッシュやクリアが強く打てないので、イースタングリップに持ち直す必要が出てきます。そのためイースタングリップからサムアップグリップへの持ちかえがスムーズにできるようになってから、コンチネンタルグリップで相手のリターンに備えるスタイルを入れることをおすすめします。
グリップの持ち替えができないケース
スマッシュレシーブやドライブをうまく打つためにはグリップの持ち替えが大切ですが、手だけに頼らずに全身を使って打つ感覚も大事です。
とくにダブルスはラリースピードが速いので、グリップの持ち替えが間に合わないケースも出てきます。このことを想定して体を切り返してスイングしやすいスペースをつくったり、握り替えをしないまま打ったりするなど、対応策を考えた練習をしておくとよいでしょう。
例えばサイド・バイ・サイドのフォーメーションであなたがバックサイドにいたとします。スマッシュを相手から打ちこまれて、それをあなたがバックハンドでレシーブしたあとに、またあなたのバックサイドに今度はドリブンクリアが飛んできました。
このときにレシーブ体勢で構えているあなたはラケットを下から頭上へと持ち上げて打たなければならなくなりますが、フォアハンドに持ち替えて後退して打ちこんではタイミングが遅れて打点が下がってしまうはずです。
そのときにバックハンドのまま相手ペアへ背中を完全に見せる形で反転しハイバックショットで下向きのショットを打ちこめれば、攻勢へ転ずることができるでしょう。
つまり、状況によっては持ち替えをしないという選択肢もあるということを覚えておいてください。ハイバックショットに限らず、ラウンドショットで打ち返すことで、後退する動作を省略することも可能かもしれません。
参考:バドミントンでラウンドの意味はラウンドザヘッドストロークのこと
ハイバックショットの打ち方についてはバドミントンでハイバックを打つときの足の使い方は?打点と握り方にも注目の記事内で触れていますので、ぜひご覧ください。
まとめ
バドミントンはラリー中にどちらのサイドに打たれたかによって、ラケットのグリップ部分の持ち方を変えなければなりません。バックサイドにシャトルが飛んできたならば、親指を立ててバックハンドでとる必要がありますね。
ただし、グリップの握り方に正解はありません。バックサイドでレシーブをしなければならないけれど、セミウエスタングリップで体を反転させてクロスにリターンするという戦法もとれます。
またラケットの特性(ヘッドヘビー、ヘッドライト)によっても合理的な握りが変わってくる可能性がでてきますし、そもそも人によって手の大きさが違うということもあるので、手の大きさとグリップの太さのバランスも考慮したら正解などは存在しないでしょう。
参考:バドミントンのグリップテープの交換時期はいつ?汚れてきたら交換?
したがって初心者のうちはフォアサイドはイースタングリップ、バックサイドは親指で押す感覚を掴みやすいサムアップグリップからスタートしましょう。
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